研究について
2019年、日本を訪れる外国人観光客数は過去最高の3,100万人を超えました。しかし、東京オリンピック・パラリンピックの開催が予定されていた2020年は、当初4,000万人の訪日客が見込まれていましたが、新型コロナウィルス感染症の影響により、前年比−87.1%の411万人となってしまいました。
一時、GoToトラベルキャンペーンも行われ、280万人以上(2020年6月現在)の在留外国人も旅行をする可能性はあったものの、大多数は日本人旅行者なので、観光接触場面も激減したと言えます。
本研究第1期目は、外国人観光客と日本人ホストとの観光接触場面のオモテナシ分析を行いました。第2期目の3年間はそのオモテナシをより良いものとするツールとして「観光のためのやさしい日本語」の開発や実践を試みました。しかし、これまで想定していた宿泊施設でのチェックイン場面や買い物場面での観光接触場面は、コロナ禍の現状としてはほとんど生起していません。
これまで各地方公共団体は、政府の地方創生の基本方針に沿って、外国人観光客数の増加、いわゆる「交流人口」の増加に努めてきたので、上のような場面で使う「やさしい日本語」の有用性に目をつけた自治体もありました。しかしこの新型コロナウィルスの影響で、オンラインツアーなど新たな旅行形態が生まれたり、近年はその地方と多様な関わり方をもつ「関係人口」に重きが置かれ始めるようになりました。このことは観光接触場面がこれまで想定されていたものと異なってくる可能性を示していると思います。
2022年中頃になれば、コロナ以前の海外旅行の状況に近づくという予測もありますが、おそらく、今後は観光接触場面の研究対象はより多様なものになってくるでしょう。しかし、そうなったときでも日本の文化や自然を楽しもうとする外国人との接触場面における、「やさしい日本語」の価値は継続し、むしろ観光業以外の人たちにも必要になってくると思われます。
今後も変容が予想される観光接触場面に注目し、オモテナシあり方や「やさしい日本語」に注目していきたいと思います。
(研究代表者:加藤好崇)
トピックス 一覧を見る
- 2021年3月31日
- 研究ノート「宿泊施設における外国人材とインターアクション教育−在留資格「特定技能1号(宿泊)」を中心に−」『東海大学大学院日本語教育学論集』8号pp41-51.
- 2021年3月
- 札幌、美唄、天童、福島調査
- 2021年3月7日
- 口頭発表「北海道B 市における観光のためのやさしい日本語と言語管理:行政と談話の管理プロセス」『多言語社会と言語問題シンポジウム2020』
- 2020年9月〜12月
- 『観光・宿泊のための日本語教育講座』(全14回)の監修を行い、「観光のためのやさしい日本語」の講義も担当
- 2020年秋号
- 論文「特集 観光とことば:インバウンドと「観光のためのやさしい日本語」」『日本語学vol.39-3』(明治書院)pp.108-117.
- 2020年6月
- 書籍「観光接触場面における日本語−人気旅館からの考察−」(山川編)『観光言語を考える』(くろしお出版)pp.49-62.
- 2020年4月
- 観光庁観観光人材政策室での聞き取り調査
- 2020年3月
- 国際友好ホテル協会、宿泊業技能試験センターでの聞き取り調査
- 2020年2月1日〜2月29日
- 朝日新聞「(知っ得 なっ得)英語でおもてなし」でオモテナシで使うやさしい日本語が紹介される。
- 2020年2月3日
- 講演『「観光のためのやさしい日本語」と「特定技能(1号)在留資格のための日本語教師養成講座」』(於 ヒューマンアカデミー福岡校舎)
- 2020年2月
- 京都、金沢、長野、益子調査
- 2020年4月
- コラム「インバウンドと「やさしい日本語」」『自治体国際化フォーラムVol.366』pp.34
- 2020年1月12日
- 『静岡新聞』に拙著が紹介される。
- 2019年10月
- 『英語教育11月号』(大修館)の書評で拙著が紹介される
- 2019年10月
- 『神奈川新聞』の書評に拙著が紹介される
- 2019年10月7日
- 『日経グローカル』の book reviewで拙著が紹介される。
- 2019年9月4日
- 『週刊東洋経済』の取材を受ける
「【本だな】「『やさしい日本語』で観光客を迎えよう インバウンドの新しい風」を書いた東海大学 教授 加藤好崇氏に聞く」(9月28日掲載) - 2019年9月3日
- 箱根Sホテルで外国人スタッフと女将さんにインタビューを実施
- 2019年9月3日13:30〜14:00
- 箱根ロータリークラブ講演「観光のためのやさしい日本語」(於 湯本富士屋ホテル)
- 2019年8月27日〜31日
- 四国 高松、徳島(大歩危)、高知調査
- 2019年8月9日
- 株式会社オージャパン浦澤様のインタビューを受ける。
「ECzineインバウンドビジネス最前線「インバウンドやるなら外国語で、は思い込み 『やさしい日本語』」(8月29日掲載) - 2019年9月24日
- 『観光経済新聞』の【本だな】に拙著が紹介される。
- 2019年9月15日
- 『しんぶん赤旗』の「背表紙」に拙著が紹介される
- 2019年9月7日
- 『山陰中央新報』で拙著が紹介される
- 2019年9月6日
- 『日本海新聞』で拙著が紹介される。
- 2019年9月6日
- 『秋田魁新報』で拙著が紹介される。
- 2019年9月3日
- 『琉球新報』で拙著が紹介される。
- 2019年7月27日
- テレビ朝日系で拙著に寄稿してくれた山城屋さんが登場
- 2019年7月24日
- 著書「『やさしい日本語』で観光客を迎えよう—インバウンドの新しい風」(大修館)刊行
- 2019年7月10日14:00 ~ 16:00
- 講演「訪日外国人旅行者おもてなしサポートのための日本語で外国人と話す『やさしい日本語』活用セミナー「日本語で外国人をおもてなし&コミュニケーション」(於 岩見沢市生涯学習センター いわなび)
- 2019年7月1日
- 朝日新聞「(現場へ!)やさしい日本語:1「外国人=英語」じゃない」で美唄市の観光のためのやさしい日本語が紹介される。
- 2019年6月23日
- シンポジウム主催『インバウンドで使うやさしい日本語−外国人旅行者とのコミュニケーションを考える』(於 東海大学高輪校舎)
- 2019年5月
- 北海道美唄市調査
- 2018年12月22日
- 口頭発表「ラジオニセコの言語管理:外国人定住者・期間雇用労働者・外国人観光客の増加を背景に」『多言語社会と言語問題シンポジウム2018』(於 東海大学高輪校舎)
- 2018年9月
- 留学生を連れて美唄市訪問
- 2018年8月
- 後志総合振興局の招待によりニセコ地区調査と講演
- 2019年5月刊行予定
- 「観光とオモテナシ:やさしい日本語で外国人観光客へオモテナシ(仮称)」(大修館)
- 2018年7月
- 藤田玲子・加藤好崇 共著「『やさしい日本語』と『やさしい英語』でおもてなし」(研究社)
https://www.amazon.co.jp/やさしい日本語とやさしい英語でおもてなし-藤田-玲子/dp/4327441171 - 2018年4月
- 「やさしい日本語」を使って観光を促進する北海道美唄市訪問+講演
- 2018年3月
- 科研費課題研究として再度採択されました。(18K00718:平成30年度基盤(C)「観光接触場面のツーリストトーク:ツーリズムのためのやさしい日本語の開発と実践」
- 2018年2月3日(土)
- 公開講演会「やさしい日本語でつくる 観光コミュニケーション」
2018年2月3日(土)14:00〜17:00
立教大学池袋キャンパス11号館2階A203教室
http://www.rikkyo.ac.jp/events/02/mknpps00000089u5.html - 2017年11月
- 京都での調査
旅館元奈古インタビュー
旅館枳殻荘インタビュー
清水寺周辺の土産物店で参与観察
NHKおはよう日本の「やさしい日本語」特集で活動が紹介される
https://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2017_1106.html - 2017年8月
- Newsweek日本版にて活動が紹介される
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/08/post-8277.php - 2017年7月
- 北海道調査
札幌観光協会訪問
函館市役所訪問
柳川市にて市民に対するインタビュー - 2017年6月
- 日本言語政策学会(JALP)第19回研究大会にてパネルディスカッション「観光接触場面におけるツーリスト・トーク:『やさしい英語』と『やさしい日本語』」開催